【連載もの】ぼんくら日記(6)

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「あこがれの」

企画・編集・出版について、その筋の先輩たちに話をきいていく連続講座のホストをホホホ座が務めている。先日は、共和国という出版社の下平尾さんとお話させていただいた。下平尾さんは、働いていた出版社から独立する理由のひとつとして、<生涯一バンド>という概念が思い浮かんだそうだ。これは一人の人間がバンド活動した時に、代表になるようなバンドというのは大体一つだけなんじゃないかという概念だ。ジョンレノンだったらビートルズ、忌野清志郎だったらRCサクセション、ジョン・ライドンだったらセックスピストルズ、奥田民生だったらユニコーンなどなど。もちろん、例外もつきものですが。

下平尾さんは就職先でいくら奮闘しても、それはやはりどこまでいっても社長のバンドで、自分のバンドではないと思い、独立を決めたという。下平尾さんは40代なのだが、ロックシーンに物事をあてはめて考える傾向は今の30~40代の男性、特に表現や思想を込めたものを世に放つような仕事の人に多いんじゃないかと思う。その世代は、青春時代にいつも身近に音楽があって、それはロックバンドであったりして、世間でも一時はバンドをすることがブームにもなって、憧れの対象としていつも頭の片隅にチラついている世代なのだ。ロックのビジネスモデルが良くも悪くも日本で隆盛だった時代。そのひとつ前の世代だったら、それは文学だったのかもしれないし、今の世代だったらネットを使ったなにがしらの方法論がそれに当たるのかもしれない。かくいう僕も40代なので、ロックバンド傾向をもれなく持っている。ホホホ座の最初の本「わたしがカフェをはじめた日。」はファーストアルバムと言ってはばからないし、ホホホ座自体もバンド的感覚で動いている。しかし、生涯一バンドの概念でいくと、僕は? 俺は? ガケ書房ってそういえばあったなぁ。

ガケ書房は、最初は僕が友達と21才の時に始めた出版グループだった。32才のときに本屋として活動しはじめて、43才でホホホ座になった。ホホホ座は、やけに本が多いお土産屋とうそぶいているが、母体は、編集企画グループだ。メンバーは僕のほかに、松本伸哉、早川宏美、加地猛という4人組。僕は、完全にバンドのつもりでいる。彼らとはバンドメンバーのつもりでいる。ガケ書房には申し訳ないが、ガケ書房はホホホ座に至る過程だったという風に今は思っている。修業時代という感じ。実際、僕はやりながらたくさんのことを学んだ。これからはそれを活かす番だ。

来年は、3冊の本がホホホ座編集で出る予定で動いています。また、僕の初の単著もそれとは別に出版社から出ます。それは、ガケ書房以前~現在までを振り返った内容です。色々、正直に書いております。口ばっかりの詐欺まがいのぼんくら集団にならないように、なんとか気をつけます。

Profile

山下賢二

ホホホ座1階店主

ホホホ座の連載もの

  • 『ぼんやり京都』松本伸哉
  • 『ぼんくら日記』山下賢二
  • 『絵そらごと〜こどもじみた大人たちへ』下條ユ